ブルース・ミラー

駐日オーストラリア大使

私自身が阪神・淡路大震災時に日本駐在で、また神戸で学生時代の一時を過ごしたこともあり、この度、「阪神・淡路大震災+クリエイティブ タイムライン マッピングプロジェクト」を拝見し、心打たれるものがありました。

 

震災復興というのは大変時間がかかるものですし、それぞれの状況や時間によって変わる需要に対する、ハードとソフトの双方からの支援が必要で、非常に複雑な作業です。東日本大震災発生直後にオーストラリアは国として捜索活動や救援物資提供等を行いましたが、政府機関では多面的・柔軟な対応が難しい場合もあります。

 

インフラの構築に比べ、アートなどを通じた人々の心を対象とした細やかな支援の成果は見えにくいものですが、人が人として生きると言うことは文化なくしてはありえません。その意味でもこのプロジェクトが時間の経過とともに失われがちな「歴史」を文化的側面から残そうとしている点に大きな共感を覚えます。そして1995年に比べ格段に情報通信環境が発達している今こそその「歴史」を積極的に発信していくことが大切なのではないでしょうか。

 

その中で、過酷な経験を経た日本の貴重な知恵を世界に伝えるためにも分析結果だけでも外国語での掲載を希望します。それは我が国のみならず世界にとっての普遍的な知恵になると考えられるからです。

 

今後、マップの上の点と点が繋がり、それが海を越えて人々の気持や体験が共有されていくことを期待します。

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