復旧期→再生期→発展期
仮設住宅や公共施設・インフラ整備をおこなう「復旧期」→建物を震災前またはそれ以上の水準にする「再生期」→ソフトの強化、震災の記憶・記録を伝える「発展期」へ推移。
社会の事象とともに、課題が推移
建築分野の活動は、仮設住宅の整備開始や復興計画の策定など社会的な事象と密接に連動し、対象となる課題が移り変わっている。
応急対応から、まちづくりへ
震災直後に設立された、特定地域を対象とする団体や組織の多くは、応急対応的なミッションに取り組んだ後、まちづくりの中心的存在へと活動がシフトしていった。
震災直後に始動、竣工は数年後
ほとんどのプロジェクトは、震災直後に活動をスタート。建築物が完成しはじめるのは、震災発生後3~4年あたりから。
時の経過にともない、目的が変遷
災害について広く伝え、そなえるために必要な施設は、災害の爪痕を保存する施設→伝えるための施設→研究・実験施設→災害にそなえるための施設へと推移。
大災害後の復旧・復興過程では、建築関連分野は大規模な都市の再生という課題と対峙しなければならない。建築や都市開発などには企画から完成まで数年を要するため、人々が暮らしを再建するために必要な「シェルターとしての建築」という緊急の対応も求められる。建築関連分野における復興期のクリエイティブな活動としては、開発プロジェクトや応急的な取り組み、各種のイベント・会議など、長・中・短期のプロジェクトが折り重なってマッピングされることになった。ほとんどのプロジェクトは災害直後にはじまっており、個々のプロジェクトプロットは開始地点ではなく、中間点やゴールを示している。
建築分野の取り組みには、建築デザインや都市開発に限らず、コミュニティ支援や市民フォーラム、まちづくり協議会の整備など住民サイドを巻きこんだ都市づくりの様相が見て取れる。クリエイターやデザイナーから一方的に与えられるのではなく、建築を活用し、都市に住む住民もまた、復興期における重要なクリエイターなのだ。それぞれが独自に活動していたように見えるさまざまな市民団体や専門家のフォーラムが、どのように共存していたかを時間軸上で見ることにより、活動相互の情報共有・ネットワークの可能性についても多様な知見を与えてくれる。
集団に埋没せず、自立した個の集まりがそれぞれの領域で合意し、議論が生まれ、どう結実していったのかをありのままに理解することが重要だ。タイムラインの末端にいる現在の私たちが、理想的な結果に存在しているとは限らない。
タイムラインはこの先も続く。よりよき未来は、その先にある。